平成20年度 厚生労働省社会福祉推進事業による研究報告書。介護保険施設における介護福祉士の配置の評価に関する研究事業 報告書(概略版)平成21年3月 第3章 まとめ

3.まとめ

 本研究のねらいの中心は、介護の業務において、介護福祉士とその資格を有しないものの違いがどこにあるのか、そしてそのことが介護の質にどのように影響しているのかを知ることである。これは介護福祉士の制度は、国として、あるレベルにおける介護福祉士の質を担保することにあることからすれば、当然の課題認識である。このたびの介護福祉士養成の教育課程の改正もそのことをねらいとしている。

 しかしながら、このことに関する先行研究は、一般に介護福祉に従事する者の業務評価であり、資格の有無による業務研究は皆無に等しいのである。このことはこの種の研究はかなり困難な課題を有することを意味している。その理由としては、介護の業務は人間関係を基盤としているので、価値、人間性、関係性のありようという質的な要素が多く含まれている。これは自然科学における要素還元的な数量的かつ客観的な評価によることだけでは解決のつかない特性を有している。介護の人間関係とは、当然のことながら、介護職員と高齢者(利用者)との人間的な相互関係を基盤としている。したがって介護職員の専門職としての要件は、利用者の主体的な生活の営みに関わって評価されるという相互変数の関係なのである。

 したがって、本研究の特徴は介護職員及び施設長が、介護の業務について、介護福祉士の資格の有無に関わらせて介護をどうみるかという多面的かつ主観的な評価に重点をおいたものである。その方法は郵送によるアンケートと訪問によるヒアリングを行った。これらは介護職員と施設長の主観的な評価であるが、これは多くの主観が集合して共有化されることで客観的な評価資料となるものである。ここでの調査結果は日々実務に従事している人の思いや評価が集約されて一つの根拠(エビデンス)をもって語っているとみることができる。以上の研究によって今後の課題と提言については、研究結果から、そのエッセンスを取り出して、その意味するところから導いていくことにする。

【調査結果から】

【今後の課題・提言】

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